介護事業所で長時間労働・パワハラ。右半身まひに。責任を取らせるために頑張っているFさんの事例

活動報告

介護・保育ユニオンの組合員で、現在も会社に責任を認めさせるために頑張っているFさんの事例を紹介します。2019年2月23日に行われた仙台けやきユニオン主催のユニオンカフェにて、Fさん自身が語っていた内容をそのまま掲載します。

 

〇介護事業所で過酷な勤務。安全配慮義務を欠いた対応

私が勤めていた会社は、社会福祉法人が経営する福祉複合型施設でした。福祉複合型施設とは『特別養護老人ホーム』『住宅型有料老人ホーム』『デイサービス』が1つの建物に3施設が有り利用できる福祉サービス施設です。

私は初代デイサービスの管理者(施設長)として入社しましたが、仕事中に頸椎を痛め手術することになり、2ヶ月間の休職をすることになりました。その後、復帰しましたが、デイサービスの管理者から住宅型有料老人ホームの営業兼入居相談員として配置転換となりました。

私が職場に復帰する際にあたって医者からいくつかの条件があげられました。『重い物は持ってはダメ(5kg未満なら可)。残業はダメ。長時間のデスクワーク・車の運転はダメ。必ず、仕事の途中、休憩を取りストレッチをし、身体を休めること』の内容でした。会社にはその内容を伝えたところ、『その条件で大丈夫です。』と回答がありました。

しかし、その条件が守られたのは数日しかなく、実際は過酷な仕事が待っていました。営業の際に持っていく資料が毎回10㎏以上ありましたし、デスクワークでは、電話対応(電話での営業活動も含む)、アポ取、営業用資料作成、会議用資料作成、入居判定会議用の実態調査資料作成、大量の全施設パンフレット印刷・綴じ方、イベントの企画書(パンフレット作成も含む)等の大量の仕事を任せられました。パワハラ的な指示もあり、『営業日報が使いづらいから作り直せ』と言われ、半年間で約3回も作り直させられました。車の運転に関しては、1日の営業回り件数は最低10件以上、ポスティング、入居判定実態調査、入居者の病院送迎(付き添い介助も含む)、施設イベントの際のドライバー、入居者が買い物に行く際の送迎(付き添い介助も含む)等が任されました。

毎日残業が必要な状態で、昼休みもなく、ストレッチすることもできず、半年後には頸椎を手術したところやその周り箇所も強く痛み出し、ブロック注射をしないと仕事が出来ない状態までになったのです。気付けば休みが無いことが当たり前になっていましたが、仕事が終わらないと上司から責められる為、それが嫌で出勤していました。施設全体の経営会議、営業会議が休日とぶつかっても、上司から『俺も出ているんだから出て来い』と命令があったり、『まだ、日付が変わってないからまだ仕事できるよね』と深夜残業を押し付けられたりもしました。復帰する際の条件を無視しており、安全配慮義務違反だと思います。残業はひと月80時間以上に上ることがあり、ひどいときには100時間を超えることもありました。しかも、残業代はいっさい払われませんでした。

 

〇追い打ちをかけるパワハラ。ついに限界を迎える

私は、上司からパワハラを受けていました。上司からは営業の件について、『ふざけるな!入居率達成していないじゃないか!この給料泥棒!』『事務員より給料を高く払っているんだ!なんなら給料を下げて給料形態を歩合制にしてもいいんだぞ!』などと罵倒されました。また、機能訓練室(通常、説教部屋)に呼び出され1時間以上説教をされたことも多々あります。最近、わかったことですが、私を呼び出す時は、事前に上司同士でどういじめるかの打ち合わせしていたというのです。

その他、説教は色々ありますが、最悪なのは毎月1回の経営会議です。会議中、上司など10名程度いる中で私自身を1時間立ちっぱなしにし『なんで出来ないの!営業の肩書が付いているのはお前だけなんだから、ちゃんとやれよ!』と言われました。他に営業に行っている同僚のことや全体として業績が上がらないことも知っているのに、それに対しては一切触れず『すべてお前が悪い!』のいってんばりでした。しかも、他の同席している者は、止めることもせず、見て見ぬ振りをしていました。会議が終わるまでは、生き地獄でした。今でも思い出すと涙が出ます。辛かったです。

そんな仕打ちが続く中で、私はついに倒れてしまいました。仕事中、突然、強烈な胸の痛みと呼吸が苦しくなり、意識がもうろうとし、右上肢から右下肢の感覚がなくなってきたので、病院にいきました。しかし、MRI検査で脳、脊髄を調べても、原因がわかりませんでした。結局右半身麻痺になり、それ以降職場には行けませんでした。なお、病気については数多くの病院を行きましたが、まったくわからず、原因が分るまで1年以上かかるのでした。

 

〇介護・保育ユニオンとの出会い

私とユニオンとの出会いは、倒れてから数日後に、河北新報の『介護・保育ユニオン発足』の記事を見て電話をしたことから始まります。介護業界では労働組合自体がないことが多く、何か労働問題があった場合は、『諦めて会社のいいなりになるか』『退職する』2つの選択肢しかありませんでした。非常に悲しいことです。当時、私自身は右半身麻痺になって『もう駄目だ、俺の人生は終わった』と毎日泣いていました。そして、会社に対する怒り、パワハラで受けた恐怖でふるえていました。そんな中、新聞記事を見て電話をした時は正直、『藁にもすがる気持ち』でいっぱいだったことを思い出します。最初にユニオンから言われたことは『1人で悩まないでください。悪いのは会社で、決してあなたが悪いわけありません、自分を責めないでください!そのために私達、介護・保育ユニオンがあるのですから!一緒に戦いましょう!』と言われた時は本当に凄くうれしかったです。それから私はユニオンに入り、会社と闘うこととなりました。

最初は、これから始める闘いのための証拠集めから始めました。手帳や手元にある書類、雇用契約書などを集めました。また、幸いICレコーダーで録音を取っていたので、それも証拠に使いました。それと同時に、労働基準監督署に残業代未払い等で申告し、けがについては労災申請をしました。労災が下りるかわからなかったので、健康保険の傷病手当金申請も行いました。残業代未払いに関しては是正勧告がだされ、全社的に未払い賃金を支払えという命令がだされました。

労災申請の内容は過重労働・パワハラによる頸椎根症の悪化、そして、それによる右半身麻痺です。しかし、残念ながら『頸椎根症悪化からくる右半身麻痺』は事例がなく、申請してから半年後、不認定になっています。

そして、未払い賃金の回収や労災申請の協力を求める会社との団体交渉を始めました。団体交渉は月1回のペースで行われました。当時の私は、団体交渉する会場までは行くのですが、交渉の場までは入れず、直接の交渉はユニオンにお願いをしていました。会社から来る上司達を見るとフラッシュバックが起き、恐怖でいっぱいになって具合が悪くなるからです。会社との団体交渉は約1年ほど続きました。数か月後、一定の折り合いがつくところまで交渉は進んだのですが、最終的に会社代表の一存で交渉は決裂になりました。そして話し合いが終わっていないのに会社側で決めた金額を組合に予告なしで、勝手に振り込んでくる暴挙までしてきたのです。とはいえ、当初は全く払う気がなかった未払い賃金を回収できたのは、ユニオンで闘った成果でした。


〇「ブラック企業対策仙台弁護団」を頼って裁判へ。労災を認めさせたい

当時私は、労災申請をするために通院・検査をしていたのですが、会社は自然退職という名目で解雇してきました。ユニオンは会社の行為に対し、反論し退職を取り下げるように要望しましたが、聞き入れられず私は無職となりました。

そして、未払い賃金について不十分な点を追及し、また労災申請をきちんと通すため、裁判を起こすことにしました。『ブラック企業対策仙台弁護団』の弁護士に依頼し、現在も裁判で闘っています。私の病気の診断名は『転換性障害』です。転換性障害とは、『ストレスや葛藤など、精神的な要因が誘引になると考えており、患者はそうしたストレスや葛藤を身体症状として変換する』と書かれています。難しいので簡単にいうと『極度のストレスにより、身体に麻痺として変換し症状があらわれた』ということです。『転換性障害』はあまり知られていない精神障害の1つで、診断できる医者も少なく、診断名がわかるまで様々な病院を回ったりし、疲れ果て、余計具合が悪くなります。実際、私もそうでした。正直、右半身麻痺が治るかは今の段階ではわかりません。ただ、認知行動療法を始めてから、少し良くなってきている気がします。体の症状を緩和させるため、整骨院にも通っています

しかし、この病名での労災申請は、残念ながら「不支給」とされてしまいました。その理由は、『精神労災を認定する際に必要な、残業時間160時間を超えていないため不支給とする』というもので、正直、不支給の内容の意味が理解できませんでした。それは、過労死ライン時間、80時間以上で脳梗塞・心筋梗塞・自殺になった方は認められて、精神労災認定では、発症1カ月前に160時間超えないと認めないということです。しかも、パワハラも考慮に入れてくれませんでした。余りにも酷すぎます。現在労基署には審査請求を行っていますが、今後は、精神労災不支給に対して国に裁判を起こす予定です。ちなみに『転換性障害』が精神労災認定されると日本で初めての事例になります。同じ障害で苦しんでいる方々の光となりますので、どうか皆さん応援してください。お願い致します。

 

〇Fさんの思い

今回、私自身の労働問題で痛烈にわかったことがあります。それは『会社・上司は労働者を守ってはくれない』『会社・上司から自分自身を守る方法を知らなかった』と言う点です。今回の件で、私は多くのことを学びました。私の場合は、様々な法律の知識や、その使い方を知り、またユニオンを使った団体交渉や弁護士と裁判をすることの現実も知れました。そしてもっとも得たことは『知りえた医師、弁護士、その他の先生達、そして労働問題を共に闘う信頼できる仲間ができた』ということです。これがユニオンの意味だと思います。

もし、なにか労働問題で悩んでいるのであれば、ユニオンをぜひ頼ってほしいです。私も含め、ユニオンの仲間が全力で解決のお手伝いを致します。そして自分が自分らしく仕事ができる世の中にしていきましょう。

 

〇ご支援のお願い

Fさんは、現在『解離性障害』という診断をされています。これは『転換性障害』という症状です。その一つの現れとして、右半身麻痺になりました。Fさんは、上記のように、労働問題で今回のような状態になってしまいました。しかし、今回、労働問題で労災申請をしたいと思い周囲の精神科の医師に相談をしましたが、労災申請と言うだけで門前払いをされてしまいます。そのため、労災は一度落ちてしまいました。

労災に落ちた理由としては『過剰なストレスに耐えられなくなり、パーソナリティ障害が悪化し転換性障害に移行したもの』とのことでした。Fさんは今回の件の10年以上前に、「パーソナリティ障害」という診断を受けていました。しかし、これのせいで今回の『転換症』になったとは到底思えません。そもそも「パーソナリティ障害」という病名による症状は基本的に発生しておらず、この病名がついたのも、その当時「神経症」で精神科に通院したときに、医療控除を受けたいと思い相談した際に、医師が良かれと思ってつけてくれたものでした。また、現在治療で『認知行動療法』を受けていますが、臨床心理士からの話でも、『パーソナリティー障害の症状はない、可能性として発達障害の1つなのではないか』という意見もあります。

現在、Fさんは正確な病名による治療も含め、労災に協力してくれる医師を探しています。この病気に関して詳しい医師の方などがいれば、情報提供をいただけると幸いです。ご支援よろしくお願いいたします。

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